かつて表計算ソフトだったもの
タイトルでピンときた人、さては社内SEですね?(アイキャッチ画像で壮大にネタバレしてるけど)
そうです、マイクロソフトが世に放ったスーパー汎用業務ソフトウェア「Microsoft Excel」のお話です。
表計算として使ってる?
突然ですが以下の画像をご覧ください。
ぶっちゃけ、こんな感じで使っている人(企業)います?少なくとも私は今までにこんな使い方してたExcelファイルはほとんど見たことがありません。
せいぜいデータが羅列されているか、なんか一覧でまとめたいとき(よくあるのは進捗管理表)に使われているのがほとんどです。つまり「ダッシュボードレベルでデータ解析できるようなキレイなデータベースとして整理整頓されたExcelファイル」というのになかなか出会えません。
世の中にはお絵かきツールとしても使われているみたいですけど…
超絶変態的なまでに細かいExcelお絵かきが海外で話題に
https://gigazine.net/news/20170911-illustration-excel/
それはさておき、社内SEとしては業務システムをまとめたい、でもオリジナルExcelで管理されているデータが各部門で量産されていてなかなか進まない、というのはよくある話ではないでしょうか。
なぜそんなことが起こるのか、私が思うに以下のようなことがあります。
その1.使いやすすぎる
まぁこれに尽きるかも知れませんが、Excelってのは使いやすいんです。誰でも使えます。しかもちょっと詳しければ関数で便利に計算できますし、さらに詳しい人だとマクロ組んでちょっとした業務アプリになっちゃいます。(いわゆる野良システム)
関数駆使して便利に表計算するのは全然良いと思うんですが、問題は業務アプリになっちゃうこと。
上の画像は、あるシステムから出力される複数のExcelデータを担当者が見やすいように”がっちゃんこ”するExcelマクロです。「VLOOKUPでも使えば良いじゃん」と思うかも知れませんが、元データが酷くて一筋縄でいかないのと、「毎回同じ計算するのめんどくさいから自動にならない?」という要望で、できるだけステップを減らして作ったものです。
もちろん元のシステムにもよりますが、本来であればそもそも最初から担当者が見やすいようにデータが出力されるべきであるはずです。
ここで次の理由が登場します。
その2.ノーコストですぐにできちゃう
Microsoft Excel ってのはすごいもので、ほとんどの企業が何かしらのバージョンを使っています。イマドキなWEB系企業やスタートアップはGoogleスプレッドシート派かも知れませんが、日本企業のほとんどは Microsoft Excel のライセンスも持っていますし、みんなのパソコンにもインストールされています。
これにより「とりあえずExcelでいいか」という風潮が生まれます。だって元のシステム改造するのはお金もかかるし時間もかかるもん。
「そのうちシステム化しよう」ということはよく聞きますが、実際にシステム化された例は…🤔
※上で紹介したExcelマクロも、早1年ほど稼働しております…
そして最後に、いざシステム化しようとしても次の問題が立ちはだかります。
その3.実はちゃんとしたデータではない
Excel管理の限界が来た、予算も取った、さぁシステム化するぞ!となっても、この壁にブチ当たります。
「誰でもノーコストで作れる」がゆえに、(表現は悪いけど)その場しのぎな設計で全くシステム化できないことも…。
「これキーはどうするの…」「なんでこの列にいろんなデータ(文字・数字)入っているの…」などシステム屋さんの悲痛な叫びを何度も聞いてきました。
もちろんデータベースエンジニアが設計したわけじゃないので、最高の正規化ができてなくて当然ですが、あるExcelファイルを運用していて必要になったから後ろに列を追加して、また列を追加して…気がつけば横に長い”管理表”になっていること、誰でも一度は経験があるのではないでしょうか。
そこで私が社内SEとしてやったことは…
脱Excelする前にデータ管理のイメージをしっかり持つ
Excelは良いソフトなんです。使い勝手も良いし。要は適材適所で「それほんとにExcelで管理する必要ある?」ということです。
脱Excel!システム化!と口で言ったって、いろんな問題があってなかなか実現できません。
で、あれば「Excel使っても良いけど、どんなデータをどんなふうに、どのタイミングでどうやって見たいの?それ、どうして見たいの?」としっかりヒアリングすることです。
その1で紹介したマクロExcelは、ヒアリングした結果それが今は最適だろう、と判断したわけです。まぁ1年も稼働してますけど…。
ツールはあくまでツールです。ヒアリングした結果、じゃぁExcelだね、ってなるのは良いと思います。コストを掛けてでもシステム化すべきか、表計算ソフトで管理するか、しっかりと業務担当者目線に立って判断することが社内SEに求められるものだと思います。
なんの記事でしたっけ?って感じで話が進んでいますが、そろそろまとめます。
社内SEはとにかく現場とコミュニケーションを取る
これ大事。超大事。だってそもそも現場でよくわからんシステムっぽいものが量産されているのは社内SEと連携が取れていないから。
現場からしたら「これくらい現場主導でやるわ」と思うし、社内SEからしたら「それくらい現場で何とかやってくれよ…」と思うかも知れない。でも、こんな感じでやっちゃうと結果的に労働生産性なんて絶対に上がらない。
現場から「これから四半期ごとのデータをまとめることになったんだけど、どうしたら良いかな…」とか、社内SEから「ここにデータ溜まってきてるんで進捗会議で活用できませんか?」とかとか、コミュニケーション取ることでお互いに思いつかなかった抜本的な解決方法が見つかるかも知れません。
というわけで、私は積極的に社内の進捗会議とかに参加させてもらって業務を見ています。あと部門間を横断していろいろ判断できるのも社内SEのメリットですし!
最後に
ここまでお読みいただきありがとうございます。
言いたかったことをまとめると「現場レベルで野良システムが量産されてしまうのは社内SE部門とのコミュニケーション不足では?」ということです。あと”かつて表計算ソフトだったもの”はしっかり表計算ソフトとして活躍してもらいましょう。
次回以降は実際に脱Excel化した話を書きたいと思います。
それではまた!